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歯並びと癖の関係(5−1)
●鼻呼吸の確認と練習
前回、口呼吸によるいろいろな影響について説明しましたが、今回は日常的に口呼吸なのか鼻呼吸なのかの確認と、鼻呼吸の練習法について説明します。
1)鼻呼吸の確認
まず、鼻の疾患や呼吸障害がないことを確認します。何か問題がある場合は正しく確認できないためそれらの問題、症状の治療を行う必要があります。鼻や呼吸器に問題がないことが確認できたら、鼻の穴の下、上唇の上に小さな手鏡を当てて普段通りに呼吸してみます。鏡が曇れば鼻で呼吸ができていることになります。左右両方の穴から同様に空気が出ているほうがよいのですが、どちらか片方だけの場合もあります。
鏡が曇らない、又は短時間(1分以下)しか鼻から呼吸ができない場合は鼻呼吸の練習が必要と判断します。
2)鼻呼吸の練習法
食事以外のリラックスしている時間に1日数回、鼻呼吸の練習をします。時間を計りながら少しずつ鼻呼吸の持続時間を延ばしていきます。トレーニングをするときのポイントは?背筋を伸ばして胸をはる(空気が吸い込みやすくなります。)?舌は上顎にくっつけて、歯に触れない(正しい舌の位置を覚えるため。この位置に舌があると口呼吸はやりづらい)?唇を閉じたままで少しだけ下顎を前進させる(咽喉が広がり空気が通りやすくなる。)
また、普段から口呼吸の方はノドが腫れやすいので、帰宅したら必ずうがいをしてください。ある程度鼻呼吸ができるようになったら、ゴム風船を使うのも良いトレーニングになります。口に風船を咥えたまま、鼻だけで空気を吸って風船を膨らますと、口を閉じる筋肉も鍛えられます。
●舌突出癖の発音への影響
1)発音障害の問題点
発音(構音)障害とは、話し言葉の中のあるきまった音を正しく発音できずに習慣化した状態をいいます。発音障害の問題点は、コミュニケーションに支障をきたしてしまうことです。特に子供の場合、自分の意志が伝えにくくなったり、何度も聞き返されたりすることで心理的に悪影響がおこる可能性が考えられます。
2)発音障害の原因
発音障害は、不正咬合による歯列やかみ合わせの問題だけでなく、耳鼻咽頭疾患に関連する口腔内の形態・構造的問題、咀嚼・嚥下時の口唇や舌の運動パターンの異常など、様々な要因が複雑に重複して生じると考えられています。 したがって、発音障害を治すために不正咬合を改善することは必要ですが、矯正治療をすれば必ず発音も良くなるわけではありません。
●舌突出癖の発音への影響
3)日本語の発音について
発音障害を考えるために、まずは日本語の発音のしくみについて少し説明します。日本語の音は母音と子音が組み合わさった「音節(ひらがな一文字で表される音)からできています。したがって、発音の良し悪しは母音、子音どちらに問題があるのか両面から評価する必要があります。
母音は、発音時の舌の位置とアゴの開口量、によって5種類(ア、イ、ウ、エ、オ)に分けられます。下図1は母音発音時の下の位置と唇の形を表したものです。
図1 日本語の母音
子音は、構音(音をつくりだす)する位置と方法によって分類されます。構音位置には?唇で発音する両唇音(パ、バ、マ行、フ、ワ)?上の歯又は歯ぐきと舌尖で発音する歯音・歯茎音(タ、ダ、サ、ザ、ラ、ナ行、ツ)?歯茎音よりやや後方で発音する歯茎硬口蓋音(シャ、チャ、ジャ、ニャ行)?硬口蓋の後方で発音する硬口蓋音(ヒャ、ヤ行)などの種類があります。構音方法には?声道(口唇から咽頭までの空間)を一時的に閉鎖・開放して出る破裂音(パ、タ、カ行など)?声道の一部を狭めることで摩擦つくる摩擦音(サ、シャ、ハ行など)?破裂につづいて摩擦することで出る破擦音(ザ、チャ、ジャ行など)などに分類できます。
舌突出癖のある方で、口呼吸が常態化していると唇の力が弱くなり両唇音(パ、バ、マ行)が不明瞭になります(構音位置の誤り)。また、舌を上に持ち上げるのが苦手なために本来は、舌先を上に持ち上げて歯や歯茎を使って発音する歯茎音(サ、タ行など)が、日頃の習慣で上下の前歯の間に舌尖がでて歯間化音(英語の/th/のような音)になることがあります。そして、このように舌がしっかり動いていない発音は一般的に「赤ちゃんのことば」のような印象を与えます。
歯並びと癖の関係(4)
口呼吸の原因と影響
前回からは舌突出癖の原因と影響についてお話ししましたが、今回は口呼吸について説明します。
1)口呼吸の原因
胎児は母親のお腹の中では呼吸をしておらず、生まれると同時に肺呼吸を始めます。新生児は哺乳中、鼻呼吸で睡眠中も鼻で息をしています。生後6ヶ月頃からアー、ウーなど発語するようになり、これが口で意識的に息を吐く最初の行動といわれています。
通常、鼻での呼吸が困難になると、代わりに口を開けて息をするようになります。鼻呼吸が困難になる原因は鼻閉(鼻づまり)です。
生後6ヶ月、母親からもらった免疫効果が失われて発語が始まるころから、乳児は様々な病気にかかりやすくなるといわれていますが、風邪はそのもっと初期的、一般的なものです。
風邪をひくと鼻の粘膜が腫れて鼻呼吸が困難になり口呼吸になります。風邪をひいて、それが治ることを繰り返すことで、鼻閉時に口呼吸をすることを覚えていきます。
風邪以外に鼻閉又は鼻呼吸障害を起こす病気にはアデノイド、扁桃肥大、アレルギー性鼻炎、鼻中隔湾曲など、色々ありますが、もっとも一般的で頻度が高いのが、アデノイド肥大と(口蓋)扁桃肥大です。
※アデノイドや口蓋扁桃が肥大すると気道が狭くなるので、鼻だけでなく口からも空気を取り入れようとするため口呼吸が習慣化しやすい。
鼻呼吸障害による口呼吸は成人でも同じように起こりますが、まだ未発達で、自分の意志で長時間口を閉じ、鼻で息をするのが困難な乳幼児や小児の場合、口で息をするのに慣れてしまうと、鼻閉が治っても鼻呼吸をせずに普段から口呼吸になってしまうことがあり(口呼吸の習慣化)このような場合、歯並びだけではなく、顎顔面形態、心肺機能、精神身体発育にも影響を及ぼすという報告もあるようです。
また、何らかの理由で前歯が生え変わるころ、永久歯が外側に傾斜し、いわゆる「出っ歯」や「上下顎前突」になることで、口が閉じずづらくなり、その結果鼻呼吸が可能なのに口呼吸が習慣化してしまう場合もあります。
2)鼻呼吸と口呼吸の違い
私たちが普段吸い込む空気には様々な雑菌(病原菌)が含まれていますが、鼻呼吸では病原菌の50〜80%は鼻の粘膜に吸着し処理されます。
冬の冷たく乾いた空気も鼻腔(鼻の奥の空間)で暖められ、湿度を含んだ状態で喉(のど)まで到達します。加湿が十分だと肺にある肺胞粘膜から酸素がスムーズに吸収でき、身体にも十分な酸素が供給されるので免疫力も向上するといわれています。
一方、口呼吸では口から吸入した空気は、そのまま喉まで入ってしまい、喉の粘膜が様々な病原菌に無防備にさらされることになります。
喉には、温度、湿度の調節機能がないので、外気を吸い込んだ時とほぼ同じ状態の空気が喉へ到達するため、喉を乾燥させたり、冷やしたりして、リンパ組織に損傷を与えることになります。
また、空気が鼻を通らないと、鼻腔は汚れが停滞してしまい、鼻粘膜が炎症を起こして肥厚するため、鼻の通りが悪くなり、その結果酸素が吸収されにくい環境になります。
3)口呼吸と食事
鼻呼吸が出来ず口で呼吸しながら食事をすると、物を噛んだり、飲み込んだりする食べ物の処理と、呼吸が協調せず、むせやすくなったり、口を開けているので、くちゃくちゃと音がしたり、食べ物が口の周りに付いたりしやすくなります。
4)口呼吸の歯周組織への影響
口呼吸が習慣化すると、常に口が開いているので口の中が乾燥し、食べ物や飲み物によるやプラークの石灰化が起こりやすくなります。
プラークの石灰化とは、食べかすが歯にこびりついて固くなった状態のことで、通常の歯磨きでは落としきれない頑固な汚れのことです。
この状態が続くと、歯磨きをしっかり行っても汚れが取れず、色素沈着や口臭の原因になるだけでなく、炎症が治りにくくなりため、歯肉炎が慢性化して歯肉の肥大や角化が起こります。
口呼吸が原因と思われる歯肉の肥厚
※歯はきれいに磨けているが歯肉は腫れているように見える
また、口呼吸が原因で舌の位置が下がり、常に舌で下顎前歯を押すようになったり(低位舌)、飲み物や食べ物を飲み込むたびに舌で前歯を押す癖(異常嚥下癖、舌突出癖)がついたりすると、歯を支えている歯周組織が弱り、歯周病を誘発します。
低位舌、舌突出癖
※上下の歯の隙間から舌が見える。普段から舌で前歯押している様子が伺える
歯並びと癖の関係(3)
舌突出癖
引き続き「歯並びと癖の関係」のお話をします。前回は「舌突出癖」の種類について説明したところ終わりましたので、今回はその種類と原因、影響についての話です。
●舌突出癖の種類
「舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)」とは簡単に言えば、安静時、嚥下時(食べ物、飲み物を飲みこむ時)などに、正常ではない舌の動かし方をする癖のことです。普段の舌の位置や嚥下時の突出の仕方によって6種類に分類されます。
癖の種類によって引き起こされる不正咬合の症状も異なります。
(1)前方突出型?前歯部開咬タイプ:嚥下時に舌が前に突出して安静時も上下の前歯の間に舌がある?上顎前突タイプ:安静時も舌が上の前歯を押していて、下の前歯は内側に倒れている。
(2)上下顎突出タイプ型:安静時に舌は上下の前歯の裏側に接しており、嚥下時に上下の前歯を押すため上下顎前突を呈する
(3)片側性突出型:安静時、嚥下時に前ではなく舌が左右どちらかの上下の側方歯(横側)の間に入り込み、側方に開咬がみられる。反対側の側方歯は噛んでいる状態。
(4)両側性突出型:安静時、嚥下時に舌が左右の上下側方歯の間に入り込み、前歯と奥歯のみが噛んでいて、犬歯、小臼歯は咬合していない。
(5)全突出型:嚥下時に舌がすべての歯を押している。噛んだ時に接するのは奥歯のみで、安静時は低位(下側)にある(右上写真)。
(6)下顎突出型:嚥下時に舌が下の前歯又は下の歯列全体を押している。重度の下顎前突(受け口)に多くみられ、外科手術による治療が必要になることが多い。
■全突出型の舌突出癖
●舌突出癖の原因
舌の癖がおこる原因は一つだけではなく色々な原因が重複して起こっていることが多く、そのため改善が困難なことがよくあります。
(1) 指しゃぶり:前回説明しましたが、長期間続く指しゃぶりや衣服やタオルなどを噛む癖も上下の前歯の萌出を妨げ、開咬を引き起こします。
この結果、嚥下時や安静時に上下の前歯の間に舌を挟むような癖がおこりやすくなります。
(2)舌の大きさと舌小帯:口の中の容積に対して大きすぎる舌(巨大舌)や舌の裏側にある細い筋(舌小帯)が短すぎる場合、舌が正常に運動できないため、正しい嚥下ができなくなります。また、安静時にも下方に位置しやすくなり(低位舌)開咬になりやすくなります。
■大きい舌により生じた開咬と反対咬合
(3)歯の欠如:外傷や早期に虫歯で抜いてしまった乳歯、先天性の歯の欠損は、歯列に隙間が生じるためその隙間に舌を突き出しやすくなります。
(4)上下の顎の位置関係:下顎の過成長や劣成長など骨格的要因により、上下のかみ合わせが極端に悪い場合、噛んだ時に上下の前歯に隙間が生じます。その隙間を埋めようとして舌が突出することがあります。顎の位置関係は遺伝的な要因が関連している場合が多くあります。
(5)アレルギー性鼻炎、扁桃腺、アデノイド肥大など:鼻咽腔疾患があると口呼吸をしょうじます。口呼吸は口から空気を吸いやすくするために口をあけて、舌の位置も下方や前方になり、嚥下時にも突出するようになります。
(6)口腔周囲筋の低下:口呼吸が習慣化すると唇を閉じる筋肉(口腔周囲筋)が弱くなり、さらに口が閉じづらくなります。本来は唇の力によって内側に向いているはずの歯が舌の圧力によって外側に押し出
され、開咬や上下顎前突、歯に隙間が生じ、ますます口を閉じるのが困難になるため、舌を前に突出しやすい歯並びに変化していきます。
●舌突出癖の影響
(1)機能的影響
?嚥下:正しい嚥下ができず、噛んだ食べ物が舌に押し出され歯列の外側に出てしまい、口の周りが汚くなります。開咬になると、前歯でものが噛めないため、奥歯ばかり使うようになり、奥歯の寿命が短くなることがあります。
?発音:舌が正しく使えないために発音が不明瞭になりやすく、特にサ行、タ行に影響が出ます。
※嚥下、発音については後日詳しく説明する予定です。
(2)形態的影響
前述したように舌突出癖は前歯や側方歯を押すため、様々な不正咬合を引き起こします。不正咬合は舌癖だけではなく骨格や唇や頬の筋肉、咀嚼筋(噛んだり口を開閉するための筋肉)とも深く関連しているため、舌の癖がある人がみんな同じ歯並びになるというわけではありません。
また、初めはそれほど歯並びに影響がないような癖も、長年放置することで症状が悪化して、骨格にまで変化を生じさせるケースもあります。歯の位置や骨格が変化すれば当然、軟組織(口元や顔つき)にも影響が出ます。
■下顎の成長方向が下方で扁桃肥大と舌突出癖のある上下顎前突。口元が突出している。
■下顎の成長方向は前方で、舌突出癖がある開咬。口元は引っ込んでいる。
歯並びと癖の関係(2)
前回からの続きで、歯並びと癖のお話をしたいと思います。
前回、口腔習癖(口に関連する癖)のなかでも、よく知られている「指しゃぶり」の原因について説明しましたので、今回はその影響についての話です。
5歳以降まで継続した指しゃぶりは、不正咬合だけでなく咬合、嚥下(ものを飲み込むこと)、発音、呼吸などの口腔機能にも影響を生じることがあります。
指しゃぶりの影響
(1)歯列、咬合への影響
指しゃぶりによる影響は、もともとの骨格や筋肉の強さなどに加えて、吸引する指の種類、頻度、吸引の強さなどによって個人差があります。
したがって、指しゃぶりをする子どものすべてが不正咬合になるわけではありませんが、長期間続くほど歯並びや噛み合わせへの影響は大きくなります。
もっとも多くみられる親指の指しゃぶりは、親指の腹側が上顎の前歯と前歯が生えている骨の部分を圧迫し、背(爪)側は下顎前歯に接触します。
その結果、上の前歯は前又は上方に、下の前歯は内側に倒れるか下方に押されるため、上顎前突(出っ歯)や開咬といった不正咬合を引き起こします(下図)。
又、指を強く吸うタイプでは頬の筋肉が収縮することで上顎の横側の歯が内側に倒れて歯列がV字型になり、出っ歯や交叉咬合(下の奥歯のほうが上の奥歯より外側になって噛む状態)になることがあります(写真1、2)。
写真1 V字歯列
写真2 開咬と交叉咬合
(2)口元、側貌(横顔)への影響
出っ歯(上顎前突)や開咬になるとどうしても口が閉じづらくなるため、普段から口が空いた状態になりやすく、口呼吸をするようになります。口呼吸が習慣になると、唇の周りの筋肉が弛緩して、前歯は更に前に出て口元全体が突出し、唇自体も翻転(めくれ上がった状態)しやすくなります。
(3)皮膚への影響
指しゃぶりを続けていると、指にタコができ、口呼吸をしていると唇は乾燥したり、荒れたりします。
(4)機能への影響
開咬になると、様々な機能的な変化が起こります。?前歯でものを噛めないので、奥歯ばかりを使う。?口が閉じづらいため、食事の時くちゃくちゃ音をたてる。?正しくものが飲み込めないため、舌を前に突き出す異常嚥下癖となり、口の周りに食べ物が付着する?口呼吸が習慣になり、呼吸に邪魔な舌が下顎の歯列を圧迫する(低位舌)?サ行、タ行などの発音が不明瞭になる など。
指しゃぶりが長く続くと、(1)のような形態変化がおきて、それが原因で(2、3,4)のような症状になります。特に(4)は、さらなる不正咬合や機能的な問題へと発展していくため、4〜5歳までには止められるようにしたいものです。
写真3,4は、指しゃぶりが原因とされる舌突出癖のある開咬のケースです。
写真3 舌突出癖1
写真4舌突出癖2
このように、普段から舌が下の前歯の上に乗っていて、さらに上の前歯を押すような状態ですと、指しゃぶりを行っているのと同じような力が歯やアゴにかかります。
舌突出癖の影響
指しゃぶりは、見ればやっているのがわかりますが、舌の癖は見ても気が付かないこと多いため余計に厄介です。
また、舌突出癖にもいろいろな種類があり、舌の位置や動かし方によって現れる不正咬合が異なります。
上の写真のケースは「前方突出開咬型」になりますが、舌が上の前歯ではなく下の前歯を押す場合「下顎突出型」といい、受け口や臼歯部交叉咬合の原因になります。
指しゃぶり同様、この癖があってもきれいな歯並びの人もいるので、必ず治さなければいけないものではありませんが、舌突出癖はみつけにくだけでなく習慣的に行っていることなので、治すのは難しく、様々な不正咬合の原因になることがあります。
歯磨きのコツ(3) 歯磨き粉の成分
歯を磨くときに歯磨き粉を使う一番の理由は、歯に付いた汚れを効率よく落とすためです。
上の歯磨きの成分表の中で、その役割を果たすのが清掃剤(研磨剤)です。
研磨剤というと、台所で使用するクレンザーを想像するかもしれませんが、一般的な歯磨き粉には歯を傷つけるほどの強力な研磨剤が入っているわけではありませんので心配要りません。
湿潤剤、発泡剤、粘結剤は清掃剤をうまくお口の中に行き渡らせるための成分で、香味剤は味や香りをよくすることで、歯磨きをしやすくする成分です。
前回お話したように、発泡剤が多すぎるとお口の中が泡だらけになり、かえって磨きにくくなったり、磨けたと錯覚して磨き残しが増えたりするので、お勧めしたいのは低発泡性の歯磨き粉です。
香味剤には一般的には清涼感のあるミントやメントールがよく使われますが、これもスッキリしすぎて磨けたと勘違いして磨き残しが起きる原因となりますので、あまり刺激が強いものはお勧めしません。
子供用歯磨き粉は、大人用の歯磨き粉と比較して成分が大きく違うわけではありません。
大人用の歯磨き粉が、ミントやメントールの香りが主流なのに対して、子供用は、歯磨きがしやすいよう刺激が少なく、
子どもが好むイチゴやブドウなど甘い味付けがしてあるだけです。ですから、大人の方でもミントが苦手な人は子供用を使っても問題はありません。
薬用成分とは、汚れを落とす歯磨き粉の基本的な成分にプラスして配合される薬剤で、フッ化ナトリウムなら歯を強くする、トラネキサム酸なら歯周病による出血の抑制といったような効能があります。
成分ではなく、形状で分類すると、次の4種類になります。
1)チューブタイプ
中身はペースト状、練り歯磨きとも呼ばれる。研磨剤、発泡剤などの成分配合でもっとも一般的なタイプで種類も豊富。
2)ジェルタイプ
とろみのある半透明のジェル状で、チューブ入りボトル入り両方あり。1)に配合される研磨剤の含有量が少なく、歯や歯茎に優しい。発泡剤無配合のものは電動歯ブラシでの使用に最適。
3)液体タイプ
マウスウォッシュ、洗口剤と呼ばれる。液体のため歯磨き粉と呼べるかは疑問。薬用成分は入っているので、炎症の抑制効果などはあるが、汚れを落とす効果はあまり期待できない。他の歯磨き粉と併用するか、どうしても歯を磨く時間がないときに使う程度がよい。
4)粉末タイプ
缶入りのものが多い。チューブタイプが発売される19世紀ごろまではこちらが主流だったため、ペースト状の歯磨剤(練り歯磨き)が主流になっても昔の名残りで「歯磨き粉」と呼ばれている。近年では無添加やオーガニック素材の歯磨き剤に利用されることが多い。
いかがでしたか?歯磨き粉にもいろいろな種類があること、種類によって効能や使用目的が違うことがおわかりいただけましたか?次回はあなたにあった歯磨き粉の選び方についてお話したいと思います。
歯磨きのコツ(3) 歯磨き粉の種類
前回から引き続いて「歯磨きのコツ」のお話をします。
前回までは主に歯ブラシや歯の磨き方についての説明をしましたが、今回は歯磨き粉(歯磨剤)についてのお話です。
皆さんはどのような基準で歯磨き粉(歯磨剤)を買いますか?市販されている歯磨き粉はさまざまな種類があり、値段もいろいろですよね。
歯磨き粉には、入っている成分により大きく分けて2つに分類できます。
その違いとは薬用成分のことで、薬用成分が配合されていない歯磨き粉は化粧品に分類され、薬用成分が配合されている歯磨き粉は医薬部外品に分類され、一般的にその配合物の種類により金額が高くなります。
化粧品歯磨き粉とは、効率よく食べかすやプラーク(歯垢)を除去する虫歯予防、口臭予防、などが目的の歯磨き粉です。
医薬部外品(薬用)歯磨き粉とは、フッ素化合物や抗炎症剤など薬用成分が配合された歯磨き粉のことで、虫歯予防のほかに歯槽膿漏や歯肉炎の予防、知覚過敏の抑制などの効果が目的の歯磨き粉です。
以下に一般的な医薬部外品(薬用)歯磨き粉の成分表を示します。
※紛らわしいですが、「医薬部外品」と「薬用」はほぼ同じで「医薬品(病院で処方される薬)ではないけれどそれに準じた効能がある薬」という意味だそうです。
歯磨きのコツ (2)
新年明けましておめでとうございます。
年末年始はいかがお過ごしだったでしょうか?
風邪の予防に大事なのは、うがいと手洗い。虫歯や歯周病の予防は毎日の歯磨きです。
今回は前々回のに引き続いて「歯磨きのコツ」についてお話します。
前々回、歯磨きのコツとして「磨く歯の順番を決める」「歯をしっかり磨く」という2つのポイントについてご説明いたしました。
当たり前のことのようですが、意外と出来ていない方がいらっしゃいますので、もう一度出来ているかどうか確認してください。
歯ブラシの選び方
歯ブラシの持ち方、力の入れ具合については前回説明しましたが、より効果的に汚れを取るには歯ブラシの大きさや硬さも気になるところです。
大きな歯ブラシのメリットは広い面積を一度に清掃できることです。
手が思うように動かない高齢者の方などに推奨されます。
デメリットはお子さんや口の中が狭い方の場合、細かい部分が磨けないことです。
小さい歯ブラシは細かい部分を磨くのには適していますが、手をたくさん動かさないとすべての歯を磨けないため、清掃効率が悪く大きな歯ブラシを使った場合よりも磨き残しが起こりやすくなります。
したがって、無難なのは普通の大きさということになるのですが、ご自分が使いやすいものを選ぶのが一番良いと思います。
歯ブラシの硬さは、硬いほど清掃力、耐久性が高くなりますが、歯を傷つけやすくなります。
硬い歯ブラシでごしごし歯ぐきを磨きすぎると、歯茎が少しずつ裂けて歯根が露出してきます。歯根は他の歯よりも柔らかいので、さらに強く歯磨きをすると削れてしまします(下写真:楔状欠損)
このような症状は痛みを伴わないまま進行することもあり、歯磨きがしっかり出来ている方でも起こりますので、注意が必要です。
柔らかい歯ブラシは歯ぐきに炎症がある場合や、歯ブラシが歯茎にあたるのを痛がるお子さんなどには有用ですが、すぐに毛先が広がり耐久性が悪いのが欠点です。
柔らかい歯磨きで歯茎への刺激に慣れたら普通の硬さの歯ブラシに替えるといいでしょう。
ほとんどの方は普通の硬さの歯ブラシが適していると思われますが、磨く力が強めの方は少し柔らかめを選んでもいいかもしれません。
歯磨きのコツ(2)
矯正装置が付いている方の歯磨きは、そうでない方に比べ磨き残しが多くなりがちですので、
以前から説明しているように普通の歯ブラシプラスαが必要です。
普通の歯ブラシで全体を磨いた後、装置の周りは歯間ブラシやタフトブラシを使って磨くのが一番確実です(下写真:タフトブラシ)。
今回お話する歯磨きのコツの3番目は「時間をかけて磨く4番目は「考えながら磨く」です。
一昨年に行なわれた、あるリサーチ会社による「歯磨きに関する調査」の結果によると、歯磨きにかける時間の平均は3分弱、歯磨きの回数は「朝晩1日2回:約50%」「毎食後約20%」「朝のみ、晩のみ:それぞれ約10%」となっていました。
1回につき3分はしっかり磨くには時間が足りない気もします。せめて5分ぐらいは必要かなと感じますが、学校やお仕事が忙しい皆さんにとっては仕方がないことでしょう。
3分でも正しい方法なら、かなりしっかりと磨くことが出来ますが、何も考えずにただ歯ブラシをくわえているだけでは意味がありません。自分がどこを磨いていて、普段どこに磨き残しが多いか考えながら磨くことが重要です。
そして、もっとも重要な寝る前の歯磨きだけは、出来れば10分ぐらい時間をかけてじっくり丁寧に磨いて下さい。
長い時間磨くにも実はコツがあります。朝や昼など時間がないときは難しいかもしれませんが、じっくり磨くには座ってるほうが簡単です。
洗面台の前で立ったまま磨くのは鏡を見ながら磨けますし、溜まった唾液を吐くのには便利ですので悪くはありません。
もし、立ったままでも5分以上磨ける方はそれでも構いません。立ったままが大変だと思われる方は洗面所以外の居間や台所などで、歯磨き粉を付けずに磨くか、洗面所に椅子を用意して一度お試し下さい。
それから、歯磨き粉を付けすぎると、口の中が泡だらけになって長い時間歯を磨くことが出来ません。
ミントなどの味が強すぎると口の中がスースーして歯が磨けていると勘違いしやすいので、歯磨き粉のつけすぎや清涼感が強すぎる歯磨き粉にはご注意下さい。
どこを磨いているか意識しながら、寝る前は時間をかけて磨きましょう
よく「電動歯ブラシを使ったほうがいいでしょうか?」という質問を受けますが、電動歯ブラシのメリットは普通の歯ブラシに比べて磨く力が一定で、清掃能力が高いことです。
しかし、いくら性能がいい電動歯ブラシでも、正しく歯に届かなければ意味がありません。また、電動歯ブラシのヘッドは大きいものが多く、本体が重いために持ちづらいというデメリットも有るので細かい部分の歯磨きには向いていないように思います。
大事なのは歯ブラシが磨きたい場所に届いているかどうかということですので、普通の歯ブラシで正しい歯磨きが出来るようになってから、さらにしっかり磨きたい方にはお勧めです。
川口市の矯正歯科治療は、清村矯正歯科で
矯正治療がおわりました(2)
当院のスタッフ、宮原さんの矯正治療が無事終了しました。
治療経過(2)
だんだん隙間が閉じて前歯が噛んでくる様子がわかると思います。
体験談 治療後の感想
Q.治療中大変だったことは?
装置を調整した日から2、3日は歯が痛くて食事が少し大変でした。でも、私の場合はだんだん痛みにも慣れてあまり気にならなくなりました。
はじめのうちは、歯磨きも面倒でしたが治療前よりも磨き残しがないように意識をして磨くようになったので逆にいい習慣ができてよかったと思います。
Q.治療が終わった今の感想は?
口の中がすっきりして食事も歯磨きもやりやすくなりました。でも、リテーナーに慣れるのに1、2週間かかりました。最初しゃべりづらかったです。
治療前後の写真やレントゲンを見せてもらって「自分でもずいぶん変わったなぁ」とうれしく思っています。
それから、装置が外れたことに周りの人があまり気づいてくれなかったので、治療中は自分が(装置のことを)気にしているだけで、意外と人の口のことなんか見ていないんだなぁって思いました。
==埼玉県川口市の清村矯正歯科オフィシャルサイト==
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矯正治療が終わりました(1)
当院のスタッフ、宮原さんの矯正治療が無事終了しました。
治療経過(1)
主訴:前歯が出ている
症状:奥歯の咬み合せは問題がありませんが、前歯はしっかりと噛んでいません。
レントゲンを見ると上顎に比べてやや下顎が後ろにありますが、骨格的にはそれほど問題ありません。
上下の前歯は極端に唇側に傾斜していました。
これは、もともと顎の大きさに対して歯が大きすぎたことと、長年にわたり、舌で前歯を押す癖があったためと思われます。
診断:舌突出癖による開咬を伴う上下顎前突
治療方針:第1小臼歯(犬歯の後ろの歯)を上下4本抜歯して、出来るだけ前歯が後ろに下がるように上顎にはTAD(矯正用インプラント)を使用することにしました。
また、治療中に舌で前歯を押す癖を治すために筋機能訓練をすることにしました。
コメント:途中、抜歯した隙間がなかなか閉じなかったり、左右のズレがでてきたりして予定より少し期間がかかりましたが、予定通り前歯がかなり後退して以前より前歯でしっかり噛み合うようになり、口元の形態もきれいになりました(下写真参照)。
治療前後のレントゲン、口元の変化
==埼玉県川口市の清村矯正歯科オフィシャルサイト==
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矯正治療中の歯磨きについて(2)
歯を磨くと出血する」の原因は?
ブラッシング不足により起きるトラブルとして、
歯肉炎が起きることがあります。歯ぐきが脹れる(歯肉炎)と
矯正装置と歯ぐきが接触し、さらにブラッシングが不十分となり、
炎症がひどくなるとブラッシングのたびに出血するようになります。
歯肉炎がひどくなると歯周炎となり、
歯を支えている骨が徐々に無くなっていきます。
特に下記の2ヶ所はブラッシング不足による歯肉炎と出血
が起こりやすい部位です。
【奥歯の歯頚部】
ハブラシが届きにくいことと、
他の部位よりもやや大きい装置(チューブ)が付
いているため磨き残しが起こりやすい。
【リンガル(裏側)矯正の前歯の歯頚部】
装置の構造上、歯ぐきと装置(ブラケット)までの距離
が近いためハブラシが届きにくい。
いくつマスターできていますか?
(ブラッシングチェックリスト)
1) ブラケットの周りを磨いている(写真①)
2) 歯頚部をしっかり磨いている
3)ハブラシの先を使っている(写真②)
4)ストローク(ハブラシを動かす距離)は小さく
細かく動かしている
・適度な力(ブラシが少し曲がるぐらいの強さ)で磨いている(写真③)
・最後に磨き残しがないか、鏡でチェックしている
お子様が矯正治療中の保護者の方へ
寝ている間は唾液の分泌が減り、お口の中が乾燥しが
ちです(口をあけて寝ている場合は特に)。
お口の中が乾燥していると、細菌が繁殖しやすくなるため、
寝る前のブラッシングは大変重要です。
お忙しいとは思いますが、磨き残しがないかどうか、
できるだけ就寝前の歯磨きチェックをお願いいたします。
==埼玉県川口市の清村矯正歯科オフィシャルサイト==
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