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よくある質問Q&A 大人の矯正治療(2)
Q2マルチブラケット装置での治療期間はどれぐらいですか?
混合歯列期の治療は、患者さんの成長、歯の生え変わりの時期が様々なので、治療開始前に治療期間を推測するのが非常に困難です。
以前にも話したように、マルチブラケット装置での治療は基本的には永久歯がすべて生え変わってから開始するので、治療期間は歯の移動にどの程度期間がかかるか推測するだけですので、混合歯列期の治療に比べると治療期間の予測が比較的簡単です。
初診時に、患者さんの症状を見る場合、お口の中と顔をみて、まず不正咬合の分類をします。
皆さんが気になるのはデコボコがたくさんあるとか、歯が前に出っ張っているとかの「個々の歯の位置の異常」ですが、治療する側からみると、まず気になるのは全体のかみ合わせの方です(図1、2、3)。
上顎前突(いわゆる出っ歯)のかみ合わせなのか?
下顎前突(受け口)なのか?
開咬の傾向なのか過蓋咬合の傾向にあるのか?
左右のずれはないか?
つまり不正咬合を横から見た場合、前後、上下のアゴの位置関係と正面から見た場合の左右の位置関係から、かみ合わせと骨格の特徴をみつけます。
同じようなお口の中の状態でも、この位置関係のずれが大きい程治療の難易度が上がり、治療期間が長くなります。
大きすぎる場合は外科矯正が必要になります(最終的な判断は精密検査が必要)。
図1 上顎前突(出っ歯)、下顎が小さく後退した骨格
図2 かみ合わせは出っ歯だが、骨格は下顎が前突した骨格
図3 アゴが左に大きくずれている左右非対称の骨格。改善には手術が必要。
次に、個々の歯の位置をみて、先ほどのかみ合わせのずれと、歯並びを治すのにどれぐらい期間がかかりそうか、抜歯が必要かマルチブラケット装置以外の装置が必要かどうかなどを推測します。
図4 奥歯を後ろに動かす装置。抜歯を避けたり、抜歯だけでは改善できないデコボコがある場合にマルチブラケット装置を付ける前に使用。
デコボコの程度がひどかったり、出っ歯や受け口などで前歯の移動量が多い程、治療期間が長くなります。
複数の症状が組み合わさっている場合も治療が難しくなります(図4、5a、5b、6a、6b)。
図5a 叢生と上顎前突のケース
図5b 上顎前突と叢生、横から見たところ。開咬でも過蓋咬合でもないため治療は比較的簡単。
図6a 上顎前突と開咬と叢生の症状があるケース
図6b 図5のケースに比べると出っ歯の量は少ないが開咬の症状があるため、治療はかなり難しく時間がかかる
また、治療方法や使用する装置も治療期間に影響します。症状によっては歯を抜かずに治療するために無理をして拡大装置などを使用するより抜歯をした方が早く簡単に治る場合もあります。
同じ症状であれば、裏側からの(リンガルブラケット)治療は表側からの治療に比べて治療期間は長くなります。
このように治療期間を推測するには色々な要素を考慮する必要がありますが、抜歯が必要なく、かなり簡単なケースで1年半ぐらい。
色々な症状が組み合わさったケースや骨格的、機能的に問題があるケースでは3年以上の治療期間がかかります。
抜歯、非抜歯を問わず、平均的と思われる症状では大体2年〜3年以内で終わるケースが50%ぐらいですので、一般的な症状で治療期間は2年半ぐらいと説明しています。
精密検査後の説明では、患者さんの歯並びの状態、骨格の特徴、機能的な問題の有無などから、さらに詳しい治療計画を考え、その方法で治す場合の治療期間をこれまでの治療経験から推測してお話しています。
しかしながら、治療を開始してみないとわからない未確定の要素があるため、正確に予測することは治療経験が多くなった現在でも困難です。
治療前に未確定な要素には以下のようなものがあります。
(1)歯の移動の早さ
(2)舌や唇、咬む力の影響
(3)かみ合わせ、顎関節の変化
(4)顎間ゴムのなどの使用状況
次回はこの未確定な要素について説明したいと思います。
よくある質問Q&A 子供の矯正治療(9)
新年明けましておめでとうございます。年末年始はいかがお過ごしだったでしょうか?
みなさんご存知のことと思いますが、去年の後半から新しいスタッフに2名入ってきていただきました。
これまでは短期間に2名スタッフが入れ替わることはなかったので、最初は不慣れでご迷惑をお掛けすることもあるかもしれませんが、よろしくお願い申し上げます。
よくある質問Q&Aの子供の矯正治療も9回目になりました。今回は、以前にも紹介したことですが、大事なことなので矯正治療中の虫歯予防についてのお話です。
Q14.矯正治療中の虫歯予防や歯磨きについて教えてください。
マルチブラケット装置(図1)は、基本的に全て大人の歯に生え変わった人に使う装置ですので、小学生以下のお子様が付けることはほとんどないのですが、このブラケットという小さな金具を、部分的に使用することは子供の治療でもよくあります。(図2)
図1 マルチブラケット装置:全ての歯にブラケット(金具)が付いている
図2 前歯だけにブラケットが付いている状態(ユーティリティーアーチ)
矯正中の歯磨きについて説明する前に、通常の歯磨き、虫歯予防についてのポイントをお話しします。
ポイント1 「虫歯になる、ならない」には個人差がある。
ポイント2 「歯磨きをやっていると、できている」は違う。
小、中学校などで習ったことがある方もいらっしゃると思いますが、虫歯の原因には4つの要素が関連しています(図3)。
図3 虫歯の原因となる4つの要素
一つ目は歯質(もともとの歯の強さ)二つ目は虫歯菌(虫歯の原因となる細菌)の数、三つ目は虫歯菌のえさとなる食べ物。それに細菌が増えたり歯を溶かす酸を出すために必要な時間です。
あまり歯磨きをしないのに、虫歯にならない人は、歯質が強かったり、もともとお口の中に虫歯菌が少なかったりする人と思われます。
歯質を強くするには、よく知られているようにフッ素を定期的に塗布したり、虫歯菌を減らすには薬剤(一部の歯磨き粉や洗口液)を使用したりするのが有用です。
ただし、効果的に虫歯を予防するには1つの要素だけを良くするのではなく、すべての要素を改善することが重要です(図4)。
図4 すべての要素を減らすことが重要
虫歯菌のえさ(食べかす)を減らすのに最も有用なのが歯磨きです。
歯磨きによって食べかすがなくなれば虫歯菌の数も減ります。
そして、もう一つ重要な要素が時間です。食後しばらくすると、菌が繁殖して菌が生み出す酸によってお口の中は酸性になり、虫歯になりやすくなります。
食べたら歯を磨くを徹底すればそれを防ぐことができます。
飴を長時間なめたり甘い飲み物をゆっくり飲み続けるような食習慣はやめるべきです。
このように「もともとの歯の強さやお口の中の虫歯菌の量、それに食生活や習慣によって虫歯のなりやすさが違う」というのが一つ目のポイントです。
二つ目のポイントは、「歯磨きが本当にしっかりできているかどうか」です。
自分では磨いているつもりでも実は磨き残しがあったり、磨いているのに汚れが取りきれていない場合は、やはり虫歯になってしまいます。
大人でも同じですが、特にお子様の場合は磨き残しが起こりやすいので、保護者の方がチェックする必要があります。
では、どのようなところに気を付けてチェックすればよいか説明します。
磨き残しは目で見ればある程度わかると思いますが、お口の中は暗いですので、できれば明るい場所でみてあげてください。
また、磨き残しがあるところは、その状態が何日か続くと歯茎に炎症がおきて(歯肉炎)腫れてきますので、すぐにわかるはずです。
その部分は弱い力で磨いてもすぐに出血しますが、それでも磨かないと歯肉炎は治りません。(図5)
図5 全体的に磨けていない。特に上下の前歯に歯肉炎が著名
多くの患者さんにみられる共通した磨き残し部位は装置と歯茎の間、上顎なら装置の上、下顎では装置の下の部分です。
この部分の磨き方は図6、7のように歯ブラシを立てて上から(下から)装置に溜まっている食べかすを細かく振動させて取り除く方法が効果的です。
また、この部分は歯茎が近くにあるので、まとめて3、4歯を磨くのではなくひとつひとつの歯を磨くようにしないと、歯茎を傷つけることがあります。
一般的にお子さんは歯磨きの力が弱いため、本人が磨いているつもりでも汚れが取り除けていない場合がほとんどだということを保護者の方は覚えておいてください。
歯肉からの出血は歯磨き不足のサインです。お子さんが仕上げ磨きを痛がる場合、初めは柔らかい毛の歯ブラシを使うのもいいアイディアです。
図6 前歯の磨き方
図7 奥歯の磨き方
よくある質問Q&A 子供の矯正治療(8)
前回に引き続きこどもの矯正治療に関するQ&Aです。
Q13. 永久歯が変な方向に生えてきました。/歯がいつまでたっても生えてきません。
乳歯から永久歯への生え変わりの時期に、永久歯の生えてくる方向に異常があることがあります(異所萌出)。そのまま経過を観察するしかない場合が多いのですが、一部のケースではすぐに治療をした方がいいことがあります。
図1 小臼歯の異所萌出
図2 多数の永久歯にも位置異常あり
この症例では、犬歯(オレンジ矢印)が生えるべき場所に第一小臼歯(黄色の○)が生えてきています。レントゲンで確認すると、現状ではどうすることもできないため、そのまま経過観察をするという判断になりました。反対側の犬歯(オレンジ矢印)の位置にも問題があります。(図1、2)
下の症例は他の歯科医院から依頼をうけたものですが、乳歯の後ろに生えるはずの6歳臼歯が乳歯に引っかかって出てこれない状態です(図3)
図3 初診時口腔内
図4 初診時レントゲン写真
レントゲンを見ると、左右共に6歳臼歯に押された乳歯が溶け始めています(吸収)。このままでは手前の乳歯が抜けて6歳臼歯が前に行き過ぎてしまうため、将来的に出てくる2本の小臼歯が生える場所がなくなってしまいます(図4)。
図5 装置装着時
上図のような装置を装着して、できるだけ早く6歳臼歯を後ろに動かす必要がありました(図5、6)。
その後他の装置も使用し、ある程度
歯並びを整えて生え変わりの経過を観ていくと、何とか他の永久歯も生えてきました(図7)。
図6 3か月後
図7 装置を付けてから2年半後
乳歯がすべて抜けて永久歯に生え変わると、通常6歳臼歯の後ろから第2大臼歯という永久歯が生えてきます。大体小学校6年生〜中学生のうちに生えてきますが、なかなか生えてこれない場合があります。次の症例も、他の歯科医院から依頼を受けたものですが、前回説明した埋伏歯の症例でもあります(図9〜15)。かなり苦労してなんとか引っ張り出すことができましたが、ここまで歯の方向が悪く、深い場所にあると牽引できない可能性もありました。
お子さんの場合、異所萌出は、わかっていてもすぐに治療ができず、長期間経過観察が必要になることが多くあります。
図8 初診時下の歯並び
図9 初診時のレントゲン:埋伏歯は内側を向いており親知らずが上にあるためこのままでは牽引できない
図10 外科処置により親知らずの抜歯と牽引用のボタンを付与
図11 埋伏歯を牽引中
図12 口腔内写真:埋まっている歯の向きが悪いうえに、上の歯とのかみ合わせに問題があったため、かなり困難な牽引を行った。
図13 口腔内写真
図14 治療後の口腔内写真
図15 治療後のレントゲン
よくある質問Q&A 子供の矯正治療(6)
前回のつづきで、これまでに初診相談やメール相談でよく質問されたことについてお答えします。
Q11 乳歯が抜けたのに、なかなかおとなの歯が生えてきません。
正常な歯の生え変わりでは、乳歯が抜けると、すぐに永久歯が生えてきます。これは骨の中にある永久歯が生えてくる過程で、乳歯の根っこが吸収し、自然に脱落するからです(図1,2)。
(図1, 四角の枠に注目)
(図2, 半年後、上下各4本の乳歯が抜けて永久歯に生え変わった)
何らかの理由で、永久歯がまだ骨の奥の方にあるのに乳歯が抜けてしまうと、永久歯がなかなか生えてこない状態が続きます。
その理由とは、虫歯や打撲などいろいろですが、原因がわからないことも良くあります。そのまま様子をみていてもいい場合もありますが、あまりに遅い場合は、現在生えている歯が移動して生えてくる歯のスペースがなくなることがあるため、何かしらの処置が必要になります(図3,4)。
(図3, 一本だけ永久歯が生えるスペースが足りない)
(図4, ここまでは内側に生えるか骨の中で止まってしまう)
また、もともと永久歯の数が足りないこと(先天欠如歯)や、あとから生えてくる歯の位置が悪い場合は、いくら待っても出てこないこともあるため、心配な場合はレントゲンを撮って確認することをおすすめします(図5,6)。
(図5, 右の前歯(側切歯)が生えてこない。生えるスペースもない状態)
(図6, 図5の写真のレントゲン。前歯はもともと3本しかない。側切歯の先天欠如)
矯正治療をする人の中には、もともと歯の大きさに対してアゴが小さすぎるため、永久歯が生えるスペースがもともと足りない人もいます。
この場合は、本来生えるべきところとは違う場所に生えてきたり(図7)、骨の中に埋まったままになってしまうことがあります(図8)。
(図7, 生える場所がなく、かなり上部から生えてきた犬歯「八重歯」)
(図8, 犬歯の埋伏。隣の歯の根が吸収)
こどものうちにアゴを広げる治療はこのような状態が起きないように予防する効果が期待できます。
●埋伏歯の治療
(図9, 図8レントゲンの口腔内写真。右上犬歯が埋伏して隣の前歯(側切歯)が保存できず抜歯後、開窓術を行い犬歯の牽引開始したところ)
(図10, 図9から2か月後)
(図11, 図9から7か月後)
埋まったままの歯(埋伏歯)は、他の歯に影響がなければそのままにしておくこともありますが、邪魔な場合は抜かなければなりません。もっとも埋伏しやすいのは第3大臼歯で、大人になって痛みが出て抜くことが多い親知らずのことです。
歯並びのことを考慮して、埋伏歯を骨の中から引っ張り出すこともあります(図9〜11)。
埋伏牽引を行うには外科処置が必要で、こどもの矯正治療では、どのタイミングで行うのが良いか見極めるのが困難なことがあります。
単に引っ張り出すだけではなく、その前に必ず埋伏歯が並ぶだけのスペースを歯列に確保しなければならないため、治療が複雑で期間も長くかかることが多くなります。
正しい嚥下と誤った嚥下(2)
前回説明した「正しい嚥下」のポイントをまとめると以下の5つになります。
1) 舌の先がスポットについている(図1)
2) 唇は閉じてリラックスしている
3) 奥歯は噛んだ状態
4) 舌の先から真ん中、後ろへと徐々に上顎の裏(口蓋)を吸い上げる
5) 舌後方部(奥の部分)が軟口蓋(ノドの奥)と接触する
4)、5)は自分で認識するのが少し難しいかもしれませんが、1)、2)、3)はすぐに確認できると思います。食事の時に口の周りが汚れやすい人は、鼻呼吸が苦手なために口が開いていたり、物を飲み込む時に舌が前に出ていることが原因なので、要注意です。
逆に飲み込む時に唇や周りの筋肉が緊張している人は、舌の圧力で食べ物が飛び出ないようにしていることが原因の可能性があります。奥歯を噛みしめずに飲み込んでいる人は多くの場合、上下の歯の隙間に舌が入り込んでいるためと思われます。これらの習慣は以前お話ししたように上顎前突や開咬などの不正咬合の原因となります。
図(1)スポット(切歯乳頭後方部)
正しい嚥下ができない原因
1)〜5)の条件を満たした状態で物を飲み込むことが「正しい嚥下」になるので、トレーニングを行っていくのですが、どうしてもできない場合もあります。口呼吸をする人の中には、鼻やのどの病気(アレルギー性鼻炎、扁桃肥大など)が原因のことが多く、症状がひどければ鼻での呼吸ができないので、耳鼻科での治療を先に行う必要があります。また、舌小帯(舌の下にある筋 図?)がもともと短い舌小帯短縮症の場合、舌が口蓋まで持ち上がらないため、切除が必要になります。舌が上に持ち上がらない人は発音にも影響が出ます。
上記のような問題がなくても、舌の力が極端に弱かったり、舌を思うように動かせない人には、まずはじめに舌を動かすためのトレーニングが必要になります(ベーシックエクササイズ)。また、指しゃぶりや鉛筆を噛むなどの癖がある人は、トレーニングを始める前に止めるようにします。症状によっては、顎を広げたり前歯を並べるなどの矯正治療を先に行う場合もあります。
図(2)舌小帯
1)ベーシックトレーニング
舌を動かすトレーニングです。これらの動きができない場合は、正しい嚥下ができないため、まずこの運動から始めます。嚥下に問題がある人は?や?の動きが苦手の人が多いです。舌の先だけでなく舌の真ん中を意識的に動かすことが難しいようです。
初めはできなくても毎日練習すればほとんどの人はできるようになります。
2)レッスンの内容
ベーシックトレーニングができるようになったら、正しい舌の位置を覚えること、そして正しく嚥下するための舌の動かし方を覚えます。
ポッピング、オープンアンドクローズ、タングドラッグなどの運動は、嚥下に問題がある人が普段使っていない舌の筋肉を鍛える運動です。<参考文献> 舌のトレーニング/わかば出版株式会社
正しい嚥下と誤った嚥下(1)
不正咬合と嚥下の関係
● 嚥下とは
食事を摂るとき、食物を認識して噛みくだき(咀嚼:そしゃく)、飲み込みやすくして、口の中(口腔)から咽頭へと食物を送り込みます。 その後咽頭から食道、食道から胃へと食物を送り込みます。 この、一連の流れを(摂食・嚥下)といい、嚥下:えんげとは、ものを飲み込み胃に送ることを示します。
● 不正咬合と嚥下の関係
小児を対象にした嚥下時の舌圧を計測した研究結果では、その力は大体400g/cm2ほどだったそうです。また、指しゃぶりをする小児の口蓋前方部(上アゴの前歯の裏側辺り)にかかる指による圧力は3〜4kg/ cm2ほどだったそうです。
ちなみに、矯正治療でエッジワイズ装置を使って前歯を後方に移動させるときの最適な力は、1歯に対して数十gと言われていますので、舌の力は矯正装置の力と同じかそれ以上に強いわけです。
別の研究によると、嚥下運動の回数は1日約600回で、平常時が2〜3分に1回、食事時が15〜20秒に1回くらいとされています。1日でこれだけ多くの回数、舌や頬、顎の筋肉を動かすわけですから、それが誤った方法で行われ続ければ、歯並びや顎の骨の形態に影響を与えることは容易に想像できると思います。
小児嚥下と成人嚥下
(1)乳児(型)嚥下
人が生まれて初めておこなう栄養摂取は哺乳 (おっぱいを飲むこと)です。生まれたばかりの赤ちゃんの口の中はこの哺乳を行うために適した形になっています。また、哺乳のため、哺乳反射(赤ちゃんが口に入ってきたものを反射的に吸う行動)という機能が備わっています。この哺乳反射により、主として舌の動きによって連続した乳汁摂取(おっぱいを飲み続ける)がなされます。この頃の嚥下は、
1.口を大きく開けたま
2.口腔内の奥まで乳首を引き込み
3.舌を前後に動かすことで嚥下する「乳児嚥下」とよばれる動きです。
(2)乳児嚥下から成人嚥下へ
乳児期に特徴的な口腔内の形態は、成長とともに著しく変化し、やがて消えていきます。また、下顔面の成長とともに咽頭腔(のどと声帯の周辺)が拡大し、喉頭の位置も下がっていくため、嚥下の動きは乳児嚥下から成人嚥下へと変化していきます。このような機能面の成長発達に伴い、また、大脳の発達と共に、反射による動きから、随意運動による「成人嚥下」の機能を獲得していきます。
(3)成人(型)嚥下
成人嚥下とは1.口唇を閉じ2.咀嚼や舌の動きによる食塊形成ができ、3.舌を口蓋(上顎の裏)に付けて4.上下の歯がかみ合った状態でものを飲み込む動きをいいます。
「誤った嚥下」では、唇は閉じていても、乳児嚥下のように歯と歯の間に舌が突き出ており、十分に舌が持ち上がっていません。また、飲み込むたびに前歯に舌の圧力がかかっています。
歯並びと癖の関係(5−2)
前回は、舌の癖の発音への影響についての話でした。今回ももう少しだけこの話をします。
4)構音(発音)の誤り
(1)聴覚印象による分類
構音の誤りは聴覚印象に基づき?省略?置換?歪みに分類されます。省略とは子音部分が抜けて母音だけが聞こえる誤りです(例:ダッコ→アッコ、ダメ→アメ)。
置換とは子音部分が他の子音に置き換わる誤りです(例:タイコ→カイコ、テレビ→テベビ)。歪みとは、正しい発音ではなく聴き取りづらい、日本語では表記できないような音になる誤りです。
(2)構音パターンによる分類
?構音位置の誤り
例1:歯間化構音:舌先を上アゴ近くに持ち上げて発音するサ行の音が、上下前歯の間に舌先が前方に出て発音するため、英語の/th/のように聞こえる。例2:構音位置の前方化:カ行の発音は舌の中央、後方部を上に持ち上げて行うが、これを舌先で構音するためにカ行とタ行が同じ音になる(カモメ→タモメ)。
●構音(発音)の誤り
例1:弾き音の破裂音化:ラ行は舌先を上アゴまで持ち上げて前後に弾く動作が必要だが、弾く動作が出来ずに破裂音になりラ行がダ行になる(ラジオ→ダジオ)。例2:摩擦音の破裂音化:サ行とタ行は同じ構音位置だが、サ行は空気を喉の奥から上前歯方向に少しずつ吐き出す摩擦音で、タ行は空気を一気に吐き出す破裂音の違いがあるが、これが同じになってしまう(サカナ→タカナ)。
そのほかにも、舌の動きが未発達なために起こる発音の誤りはあります。(口蓋化構音:こもった感じの音。タ行→カ行、ダ行→ガ行、ラ行→ガ行などに聴こえる。
側音化構音:シ→ヒ、チ→キ、ジ→ギのようになる、こもって唾液が混じったような雑音。)
5)構音訓練とMFT
構音訓練とは発音の誤りが習慣化し聴覚的に正しい音を聞かせても模倣が見られず、発達年齢から考えても自然改善が望めない場合に行うそうです。大体5歳頃から開始するのが一般的なようですが、訓練には言語聴覚士(療法士)の指導が必要なため、小児科のある比較的大きな病院で実施していることが多いようです。歯科で実施している所は大学病院以外ではほとんどないと思います。
●MFT(筋機能訓練法)
構音障害の改善には言語聴覚士による構音訓練だけではなく、歯科医師、歯科衛生士によるMFTを実施することで、効果が上がることがあります。先ほど説明した歯間化構音、口蓋化構音、側音化構音は舌の訓練により、発音の改善が期待できます。
以下の図は当院で実際に行っているMFTのためのテキストの一部です。毎日地道なトレーニングが必要で、成果がなかなか上がらないことも多く、実際に続けるのはなかなか大変ですので、お子様には保護者のご協力が必要になります。また、お子様だけでなく大人の方でも効果があります。
歯並びと癖の関係(5−1)
●鼻呼吸の確認と練習
前回、口呼吸によるいろいろな影響について説明しましたが、今回は日常的に口呼吸なのか鼻呼吸なのかの確認と、鼻呼吸の練習法について説明します。
1)鼻呼吸の確認
まず、鼻の疾患や呼吸障害がないことを確認します。何か問題がある場合は正しく確認できないためそれらの問題、症状の治療を行う必要があります。鼻や呼吸器に問題がないことが確認できたら、鼻の穴の下、上唇の上に小さな手鏡を当てて普段通りに呼吸してみます。鏡が曇れば鼻で呼吸ができていることになります。左右両方の穴から同様に空気が出ているほうがよいのですが、どちらか片方だけの場合もあります。
鏡が曇らない、又は短時間(1分以下)しか鼻から呼吸ができない場合は鼻呼吸の練習が必要と判断します。
2)鼻呼吸の練習法
食事以外のリラックスしている時間に1日数回、鼻呼吸の練習をします。時間を計りながら少しずつ鼻呼吸の持続時間を延ばしていきます。トレーニングをするときのポイントは?背筋を伸ばして胸をはる(空気が吸い込みやすくなります。)?舌は上顎にくっつけて、歯に触れない(正しい舌の位置を覚えるため。この位置に舌があると口呼吸はやりづらい)?唇を閉じたままで少しだけ下顎を前進させる(咽喉が広がり空気が通りやすくなる。)
また、普段から口呼吸の方はノドが腫れやすいので、帰宅したら必ずうがいをしてください。ある程度鼻呼吸ができるようになったら、ゴム風船を使うのも良いトレーニングになります。口に風船を咥えたまま、鼻だけで空気を吸って風船を膨らますと、口を閉じる筋肉も鍛えられます。
●舌突出癖の発音への影響
1)発音障害の問題点
発音(構音)障害とは、話し言葉の中のあるきまった音を正しく発音できずに習慣化した状態をいいます。発音障害の問題点は、コミュニケーションに支障をきたしてしまうことです。特に子供の場合、自分の意志が伝えにくくなったり、何度も聞き返されたりすることで心理的に悪影響がおこる可能性が考えられます。
2)発音障害の原因
発音障害は、不正咬合による歯列やかみ合わせの問題だけでなく、耳鼻咽頭疾患に関連する口腔内の形態・構造的問題、咀嚼・嚥下時の口唇や舌の運動パターンの異常など、様々な要因が複雑に重複して生じると考えられています。 したがって、発音障害を治すために不正咬合を改善することは必要ですが、矯正治療をすれば必ず発音も良くなるわけではありません。
●舌突出癖の発音への影響
3)日本語の発音について
発音障害を考えるために、まずは日本語の発音のしくみについて少し説明します。日本語の音は母音と子音が組み合わさった「音節(ひらがな一文字で表される音)からできています。したがって、発音の良し悪しは母音、子音どちらに問題があるのか両面から評価する必要があります。
母音は、発音時の舌の位置とアゴの開口量、によって5種類(ア、イ、ウ、エ、オ)に分けられます。下図1は母音発音時の下の位置と唇の形を表したものです。
図1 日本語の母音
子音は、構音(音をつくりだす)する位置と方法によって分類されます。構音位置には?唇で発音する両唇音(パ、バ、マ行、フ、ワ)?上の歯又は歯ぐきと舌尖で発音する歯音・歯茎音(タ、ダ、サ、ザ、ラ、ナ行、ツ)?歯茎音よりやや後方で発音する歯茎硬口蓋音(シャ、チャ、ジャ、ニャ行)?硬口蓋の後方で発音する硬口蓋音(ヒャ、ヤ行)などの種類があります。構音方法には?声道(口唇から咽頭までの空間)を一時的に閉鎖・開放して出る破裂音(パ、タ、カ行など)?声道の一部を狭めることで摩擦つくる摩擦音(サ、シャ、ハ行など)?破裂につづいて摩擦することで出る破擦音(ザ、チャ、ジャ行など)などに分類できます。
舌突出癖のある方で、口呼吸が常態化していると唇の力が弱くなり両唇音(パ、バ、マ行)が不明瞭になります(構音位置の誤り)。また、舌を上に持ち上げるのが苦手なために本来は、舌先を上に持ち上げて歯や歯茎を使って発音する歯茎音(サ、タ行など)が、日頃の習慣で上下の前歯の間に舌尖がでて歯間化音(英語の/th/のような音)になることがあります。そして、このように舌がしっかり動いていない発音は一般的に「赤ちゃんのことば」のような印象を与えます。
歯並びと癖の関係(4)
口呼吸の原因と影響
前回からは舌突出癖の原因と影響についてお話ししましたが、今回は口呼吸について説明します。
1)口呼吸の原因
胎児は母親のお腹の中では呼吸をしておらず、生まれると同時に肺呼吸を始めます。新生児は哺乳中、鼻呼吸で睡眠中も鼻で息をしています。生後6ヶ月頃からアー、ウーなど発語するようになり、これが口で意識的に息を吐く最初の行動といわれています。
通常、鼻での呼吸が困難になると、代わりに口を開けて息をするようになります。鼻呼吸が困難になる原因は鼻閉(鼻づまり)です。
生後6ヶ月、母親からもらった免疫効果が失われて発語が始まるころから、乳児は様々な病気にかかりやすくなるといわれていますが、風邪はそのもっと初期的、一般的なものです。
風邪をひくと鼻の粘膜が腫れて鼻呼吸が困難になり口呼吸になります。風邪をひいて、それが治ることを繰り返すことで、鼻閉時に口呼吸をすることを覚えていきます。
風邪以外に鼻閉又は鼻呼吸障害を起こす病気にはアデノイド、扁桃肥大、アレルギー性鼻炎、鼻中隔湾曲など、色々ありますが、もっとも一般的で頻度が高いのが、アデノイド肥大と(口蓋)扁桃肥大です。
※アデノイドや口蓋扁桃が肥大すると気道が狭くなるので、鼻だけでなく口からも空気を取り入れようとするため口呼吸が習慣化しやすい。
鼻呼吸障害による口呼吸は成人でも同じように起こりますが、まだ未発達で、自分の意志で長時間口を閉じ、鼻で息をするのが困難な乳幼児や小児の場合、口で息をするのに慣れてしまうと、鼻閉が治っても鼻呼吸をせずに普段から口呼吸になってしまうことがあり(口呼吸の習慣化)このような場合、歯並びだけではなく、顎顔面形態、心肺機能、精神身体発育にも影響を及ぼすという報告もあるようです。
また、何らかの理由で前歯が生え変わるころ、永久歯が外側に傾斜し、いわゆる「出っ歯」や「上下顎前突」になることで、口が閉じずづらくなり、その結果鼻呼吸が可能なのに口呼吸が習慣化してしまう場合もあります。
2)鼻呼吸と口呼吸の違い
私たちが普段吸い込む空気には様々な雑菌(病原菌)が含まれていますが、鼻呼吸では病原菌の50〜80%は鼻の粘膜に吸着し処理されます。
冬の冷たく乾いた空気も鼻腔(鼻の奥の空間)で暖められ、湿度を含んだ状態で喉(のど)まで到達します。加湿が十分だと肺にある肺胞粘膜から酸素がスムーズに吸収でき、身体にも十分な酸素が供給されるので免疫力も向上するといわれています。
一方、口呼吸では口から吸入した空気は、そのまま喉まで入ってしまい、喉の粘膜が様々な病原菌に無防備にさらされることになります。
喉には、温度、湿度の調節機能がないので、外気を吸い込んだ時とほぼ同じ状態の空気が喉へ到達するため、喉を乾燥させたり、冷やしたりして、リンパ組織に損傷を与えることになります。
また、空気が鼻を通らないと、鼻腔は汚れが停滞してしまい、鼻粘膜が炎症を起こして肥厚するため、鼻の通りが悪くなり、その結果酸素が吸収されにくい環境になります。
3)口呼吸と食事
鼻呼吸が出来ず口で呼吸しながら食事をすると、物を噛んだり、飲み込んだりする食べ物の処理と、呼吸が協調せず、むせやすくなったり、口を開けているので、くちゃくちゃと音がしたり、食べ物が口の周りに付いたりしやすくなります。
4)口呼吸の歯周組織への影響
口呼吸が習慣化すると、常に口が開いているので口の中が乾燥し、食べ物や飲み物によるやプラークの石灰化が起こりやすくなります。
プラークの石灰化とは、食べかすが歯にこびりついて固くなった状態のことで、通常の歯磨きでは落としきれない頑固な汚れのことです。
この状態が続くと、歯磨きをしっかり行っても汚れが取れず、色素沈着や口臭の原因になるだけでなく、炎症が治りにくくなりため、歯肉炎が慢性化して歯肉の肥大や角化が起こります。
口呼吸が原因と思われる歯肉の肥厚
※歯はきれいに磨けているが歯肉は腫れているように見える
また、口呼吸が原因で舌の位置が下がり、常に舌で下顎前歯を押すようになったり(低位舌)、飲み物や食べ物を飲み込むたびに舌で前歯を押す癖(異常嚥下癖、舌突出癖)がついたりすると、歯を支えている歯周組織が弱り、歯周病を誘発します。
低位舌、舌突出癖
※上下の歯の隙間から舌が見える。普段から舌で前歯押している様子が伺える
歯並びと癖の関係(3)
舌突出癖
引き続き「歯並びと癖の関係」のお話をします。前回は「舌突出癖」の種類について説明したところ終わりましたので、今回はその種類と原因、影響についての話です。
●舌突出癖の種類
「舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)」とは簡単に言えば、安静時、嚥下時(食べ物、飲み物を飲みこむ時)などに、正常ではない舌の動かし方をする癖のことです。普段の舌の位置や嚥下時の突出の仕方によって6種類に分類されます。
癖の種類によって引き起こされる不正咬合の症状も異なります。
(1)前方突出型?前歯部開咬タイプ:嚥下時に舌が前に突出して安静時も上下の前歯の間に舌がある?上顎前突タイプ:安静時も舌が上の前歯を押していて、下の前歯は内側に倒れている。
(2)上下顎突出タイプ型:安静時に舌は上下の前歯の裏側に接しており、嚥下時に上下の前歯を押すため上下顎前突を呈する
(3)片側性突出型:安静時、嚥下時に前ではなく舌が左右どちらかの上下の側方歯(横側)の間に入り込み、側方に開咬がみられる。反対側の側方歯は噛んでいる状態。
(4)両側性突出型:安静時、嚥下時に舌が左右の上下側方歯の間に入り込み、前歯と奥歯のみが噛んでいて、犬歯、小臼歯は咬合していない。
(5)全突出型:嚥下時に舌がすべての歯を押している。噛んだ時に接するのは奥歯のみで、安静時は低位(下側)にある(右上写真)。
(6)下顎突出型:嚥下時に舌が下の前歯又は下の歯列全体を押している。重度の下顎前突(受け口)に多くみられ、外科手術による治療が必要になることが多い。
■全突出型の舌突出癖
●舌突出癖の原因
舌の癖がおこる原因は一つだけではなく色々な原因が重複して起こっていることが多く、そのため改善が困難なことがよくあります。
(1) 指しゃぶり:前回説明しましたが、長期間続く指しゃぶりや衣服やタオルなどを噛む癖も上下の前歯の萌出を妨げ、開咬を引き起こします。
この結果、嚥下時や安静時に上下の前歯の間に舌を挟むような癖がおこりやすくなります。
(2)舌の大きさと舌小帯:口の中の容積に対して大きすぎる舌(巨大舌)や舌の裏側にある細い筋(舌小帯)が短すぎる場合、舌が正常に運動できないため、正しい嚥下ができなくなります。また、安静時にも下方に位置しやすくなり(低位舌)開咬になりやすくなります。
■大きい舌により生じた開咬と反対咬合
(3)歯の欠如:外傷や早期に虫歯で抜いてしまった乳歯、先天性の歯の欠損は、歯列に隙間が生じるためその隙間に舌を突き出しやすくなります。
(4)上下の顎の位置関係:下顎の過成長や劣成長など骨格的要因により、上下のかみ合わせが極端に悪い場合、噛んだ時に上下の前歯に隙間が生じます。その隙間を埋めようとして舌が突出することがあります。顎の位置関係は遺伝的な要因が関連している場合が多くあります。
(5)アレルギー性鼻炎、扁桃腺、アデノイド肥大など:鼻咽腔疾患があると口呼吸をしょうじます。口呼吸は口から空気を吸いやすくするために口をあけて、舌の位置も下方や前方になり、嚥下時にも突出するようになります。
(6)口腔周囲筋の低下:口呼吸が習慣化すると唇を閉じる筋肉(口腔周囲筋)が弱くなり、さらに口が閉じづらくなります。本来は唇の力によって内側に向いているはずの歯が舌の圧力によって外側に押し出
され、開咬や上下顎前突、歯に隙間が生じ、ますます口を閉じるのが困難になるため、舌を前に突出しやすい歯並びに変化していきます。
●舌突出癖の影響
(1)機能的影響
?嚥下:正しい嚥下ができず、噛んだ食べ物が舌に押し出され歯列の外側に出てしまい、口の周りが汚くなります。開咬になると、前歯でものが噛めないため、奥歯ばかり使うようになり、奥歯の寿命が短くなることがあります。
?発音:舌が正しく使えないために発音が不明瞭になりやすく、特にサ行、タ行に影響が出ます。
※嚥下、発音については後日詳しく説明する予定です。
(2)形態的影響
前述したように舌突出癖は前歯や側方歯を押すため、様々な不正咬合を引き起こします。不正咬合は舌癖だけではなく骨格や唇や頬の筋肉、咀嚼筋(噛んだり口を開閉するための筋肉)とも深く関連しているため、舌の癖がある人がみんな同じ歯並びになるというわけではありません。
また、初めはそれほど歯並びに影響がないような癖も、長年放置することで症状が悪化して、骨格にまで変化を生じさせるケースもあります。歯の位置や骨格が変化すれば当然、軟組織(口元や顔つき)にも影響が出ます。
■下顎の成長方向が下方で扁桃肥大と舌突出癖のある上下顎前突。口元が突出している。
■下顎の成長方向は前方で、舌突出癖がある開咬。口元は引っ込んでいる。