清村矯正歯科

清村矯正歯科のブログでは、矯正歯科治療の疑問や症例について解説しています。

よくある質問Q&A 大人の矯正治療(5)

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Q5.口元が出ているのを治したいのですが、どれくらい変化がありますか?

 

成人の患者さんからご相談で「前歯が出ているので口が閉じにくい」「出っ張った口元を引っ込めたい」というお話を聞くことがあります。

客観的にみて前歯が出すぎている場合は、犬歯の後ろの歯を抜歯したスペースを使って前歯を後退させることができます。抜歯をしない場合は、ほとんどの場合前歯を後退させることができず、場合によっては少し前に出さざるを得ません。

小学生や中学生の保護者の方の多くは、何とか歯を抜かずに済む方法はないかとご相談されることが多いのですが、その場合は「口元の突出感」の改善はできないので、永久歯列期の治療を開始する前に抜歯をするかどうかは相談して決めるようにしています。小臼歯の抜歯を行うと、ほとんどの場合口元が後退します。ただし、どの程度後退するかは、骨格、口の周りの筋肉や唇の形など、色々な要素によって変わるため、治療前に確実にわかるものではありません。

口元の突出度を調べるのによく使われる基準としては鼻の先端とあごの先端を結んだ線「E-line」があります。
このE-line上、又はわずかに後ろに唇が位置しているのが理想的な状態といわれています。したがって、鼻の高さや、下あごの形も口元の突出度に影響を与えます。

 

図1 患者A:20代女性 治療前

 

図2 患者A治療後

 

Aの患者さんは、デコボコはそれ程ひどくないので、少し前に歯を出せば何とか並べることはできそうでした。でも、口元も後ろに下げたい希望がありましたので、小臼歯を4本抜歯して治療しました。元々の骨格に問題ありません(図1~4)。

 

図3 治療前レントゲン写真
※黄色線がE-line

 

図4 治療後レントゲン写真

 

上下の前歯が後退したことで、治療前に少し出ていた上下の唇も後退し、E-lineの内側に収まりました。

Bの患者さんは上下ともかなり前歯が突出して口元の突出も著名です。下唇のほうが前に出ていますが、あごの位置関係は下顎がやや後ろにあります(図5~8)。

図5 患者B:20代女性 治療前

 

図6 患者B 治療後

 

図7 患者B 治療前レントゲン写真

 

図8 患者B 治療後レントゲン写真

 

この患者さんは、前歯と口元をできるだけ引っ込めたいという希望だったため、最大限に後ろに下げる方法(矯正用インプラント)を用いて治療をしました。また、前歯を舌で押す癖があったため、治療と並行してこの癖の改善を一生懸命やってもらいました。
治療前後の口元の変化をみると、下唇は少しE-lineより出ていますが、上下の唇はかなり後退しているのがわかります。

治療前は口を閉じると唇の下の筋肉が強く緊張して出っ張っていましたが、治療後は緊張が減ってあご(オトガイ部)の形がかなり変化しています。
Aの患者さんは口元の突出度が少し、Bの患者さんは大きく突出している状態でした。元の状態によって改善度は異なります。
もう一つ口元の突出度を表す指標にNasolabial angle(ナゾラビアルアングル・鼻唇角)というのがあります(図9)。

 

図9 Nasolabial angle(鼻唇角)

 

鼻の下を通る線と上唇を通る線で作られる角度のことで、90°~105°ぐらいが理想とされています。鼻の形によって影響を受ける角度なので、性別や人種によっても理想値は異なります。この角度が小さいと上唇が突出、大きいと後退傾向を表します。
A、Bの患者さんは、どちらもはじめ小さかったのが治療後には90°近くまで改善しています。

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Written by kiyomura

1月 7th, 2020 at 4:44 pm